僕は借金返済が滞り、給料が差し押さえられたという経験があります。この場合、給料は全額差し押さえられてしまうのか?今日はその疑問に答えて行きたいと思います。
給料差し押さえには金額の上限がある。
まず結論から申し上げますと
給料全額が差し押さえられることはない。
ということになります。これは法律で決まっています。具体的には
民事執行法第152条
にその規定が書かれています。
(差押禁止債権)
第152条
次に掲げる債権については、その支払期に受けるべき給付の四分の三に相当する部分(その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分)は、差し押さえてはならない。ウィキブックス「 民事執行法第152条 」より
一 債務者が国及び地方公共団体以外の者から生計を維持するために支給を受ける継続的給付に係る債権
二 給料、賃金、俸給、退職年金及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る債権
つまり給与の4分の3、75%は差し押さえてはならない
ということになります。これは差し押さえされる人の生活を最低限守るためという趣旨でしょうね。
また4分の3の算出元は給与の額面ではなく、所得税、地方税、社会保険料を控除した手取り額を基準にするということも注意が必要です。
ただし、条文に「その額が標準的な世帯の必要生計費を勘案して政令で定める額を超えるときは、政令で定める額に相当する部分」という但し書きがあります。
なにか難しいように思えますが、つまりは、
差し押さえされない金額には政令で定めた上限金額がある
ということです。
例えば、毎月の給料が100万円の人がいるとします。その人の給与の4分の3は75万円です。4分の3を差し押さえされない上限とすれば、
75万円
は差し押さえされず、その人の手元に残るということになります。
ただし、75万円という金額は常識的に考えて1ヶ月の生活費としてはかなり高額です。差し押さえを禁止する部分があるというのは前述したとおり、借金をしている人の生活を守るためという趣旨です。その趣旨に照らし合わせてあまりにも高額と考えられるかと思います。そのため、現在では上限が政令で
33万円
と定められています。言い方を変えれば
手取り33万円を超過した分は差し押さえされる
ということになります。
給料差し押さえ金額のまとめ
給与から所得税、地方税、社会保険料を差し引いた手取りの4分の1(25%)
ただし、手取りが33万円を超える場合は、それを超えた金額全て
ということになります。いくつか例を挙げると
- 手取り16万円→4万円差し押さえ、12万円が手元に残る
- 手取り44万円→11万円差し押さえ、33万円が手元に残る
- 手取り60万円→27万円差し押さえ、33万円が手元に残る
給与の全額を差し押さえられるわけではないですが、差し押さえをされる状況ということは、かなり返済も苦しく、生活も苦しい状況に陥っていると考えられます。
その上、まとまった金額を差し押さえられることは返済と生活が更に厳しくなることが予想されます。よってそのような状況に陥る前に是非専門家に相談して下さい。法テラスであれば一定の条件を満たせば無料で相談が可能です。
※ここで記載している内容は法律の改正や債務者の給与状況や生活状況により異なる場合があります。よって、詳細は弁護士など専門家にご相談の上確認されることを強くおすすめします。あくまで参考情報として下さい。
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